先端翼付き回転貫入鋼管杭
アーステンダーパイル工法(ETP工法)
性能
シンプルかつ斬新な形状が高い支持力とスムーズな施工を実現
- 砂質地盤(礫質地盤を含む)・粘土質地盤を先端地盤に適用可能で、様々な地盤条件に対応します
- 押込み方向・引抜き方向の各支持力係数は、通用する地盤に左右されません(同係数)
- 杭径は最小89.1mm、最大457.2mmをラインナップし、住宅から中層建築物、擁壁等に採用が可能です
- 先端径は杭径毎に豊富なバリエーションを設定し、コストを考慮した提案が可能となります
- 最大で59.4mまで施工が可能で、支持層が深い場合でも対応します(かつ抗径の130倍以内)
ETP工法の特長
鋼管の先端に円形の拡底翼と正三角形の掘削補助刃を溶接結合し、鋼管を回転させることによって地盤中に貫入させ、これを杭として利用する技術である。
回転貫入時の軸振れを防止する為の掘削補助刃を装備するとともに回転貫入時に大きな推進力が得られるように、拡底翼の一部を切り欠き 30°の勾配で上下に折り曲げていることに特徴がある。
環境性能
アーステンダーパイル工法は、エコロジーで経済的です
- セメントを使う必要がないため、地盤や地下水を汚染することはありません
- 無排土で施工するため、残土処分コストが不要です
- 将来の建て替え時等でも、抗を逆回転させることで撤去する事ができます
- 従来の大きな杭打機ではなく、コンパクトでパワフルな施工機械により、低騒音・低振動の施工ができ、周辺環境にも配慮できます
施工機械
様々な施工状況に対応可能な幅広いマシンラインナップ
- 狭小地でも施工可能なコンパクトな施工機械
- 上空制限のある現場でも対応出来る特別仕様にも設定可能です
主な施工機械 | |||||||
メーカー名 | 日本車輌製造 | エーコー | YBM | ||||
機種名 | DHJ-06SP | DHJ-08SP | DHJ-12SP | DHJ-15SP | DHJ-25SP | MD-120 | GI-80C-HT-KⅡ |
最大トルク(kN・m) | 40.3 | 60.1 | 98.3 | 139.0 | 325.0 | 98.1 | 45.2 |
最大押込力(kN) | 49.0 | 45.5 | 59.4 | 68.6 | 196.0 | 68.6 | 82.3 |
機械重量(t) | 7.2 | 10.0 | 14.4 | 17.5 | 33.0 | 13.8 | 17.6 |
施工方法
施工管理装置により、状況をリアルタイムにモニタリングし、確実な施工を行います
杭芯セット
回転貫入
継杭作業~回転貫入
打ち止め
回転貫入開始前に、施工機械のくい回転駆動装置に管理最大トルク値(くい体の許容トルク以内)を設定し、回転貫入開始直後はくい芯のずれに注意しながら、1回転当たりの規定貫入量以内で貫入させる。また、杭の鉛直精度を随時チェックし、鉛直性に十分注意する。
泥岩等では施工時に滑りが生じる場合があるため、押込み力を付加しながら施工する。
打ち止め管理
独自の支持層判定基準による打ち止め管理
施工管理装置により、施工状況をデータでいつでも確認可能
試験杭の打設
ボーリング位置に最も近くで計画されている本設杭1本以上を試験杭として選定し、支持層深度の確認及び本設杭の打ち止め管理方法を決める。
条件A(トルク管理)
特徴
特徴 N値とトルクの相関性が高く、支持層深度を判 断しやすいこと
管理方法
本設杭の打ち止め管理をトルク管理で行うものとし、試験杭の支持層上端のトルクの80%を管理トルク値(Aトルクと呼ぶ)として設定する。
条件B(深度管理)
特徴
設計深度のN値がその上層と比べて変化が小 さく、トルクでも支持層深度が判断しにくいこと
管理方法
本設杭の打ち止め管理を深度管理で行うことを原則とする。ただし、試験杭打ち止め時のトルクの80%を管理トルク値(「Bトルク」と呼ぶ)として 設定する。
方法Aの条件にも方法Bの条件にも合わない場合、試験杭打設位置が地盤柱状図と合っていないと判断し、ボーリング地点により近い場所に試験杭を再施工する。なお、試験杭施工の結果、支持層が予定深度よりも深い場合は、所定の支持層と判断される深度まで打設してトルクを計測する。
本設杭の打設
方法Aによる本設杭の打ち止め管理
支持層近辺でトルクがAトルクに達した深度を支持層上端と判定し、これより1Dw(翼径分)以上根入れして打ち止めることを原則とする。
施工例
ただし、トルクがくい体の許容トルクの80%を超え、かつ、1回転当りの貫入量が3mm以下となり1Dw以上の根入れが困難な場合には、支持層が非常に硬いことを確認の上、充分な支持力が確保されたものと判定して打ち止める。支持層が非常に硬いことが確認できない場合は、関係者と協議する。
方法Bによる本設杭の打ち止め管理
設計深度まで貫入させて打ち止める。ただし、打ち止め深度にてトルク値がBトルクに達しない場合、Bトルクに達する深度まで貫入させる。
ただし、支持層内で長時間回転し続けるとかえって支持層を痛める恐れがあるため、長時間の回転は避ける。
※支持府内で滑りが生じた場合、滑りの生じた状態で打ち止めず、押込み力を付加して食い込ませてから打ち止めるものとする。
押込み方向支持力
先端地盤:砂質地盤(礫質地盤を含む)
国土交通省大臣認定:TACP-0589
性能評価:BCJ基評FD0177-03
先端地盤:粘土質地盤
国土交通省大臣認定:TACP-0590
性能評価:BCJ基評FD0231-02
適用鋼管 径:89.1mm~457.2mm
先端翼 径:1.8倍径~4.0倍径(鋼管径による)
最大施工深さ:59.4mかつ杭径の130倍以下
用する建築物の規模:延べ面積50,000m2以下
盤から決まる長期許容支持力(RaL)
RaL= 1/3{α・N・Ap + (β・Ns・Ls+γ・qu・Lc)ψ } (kN)
α:基礎ぐいの先端付近の地盤におけるくい先端支持力係数(a=140) ※1
β:基礎ぐいの周囲の地盤のうち、砂質地盤におけるくい周面摩擦力係数(β=2.0) ※1
γ:基礎ぐいの周囲の地盤のうち、粘土質地盤におけるくい周面摩擦力係数(y=0.3) ※1
N:基礎ぐいの先端付近(基礎ぐいの先端より下方に1Dw(Dw:翼径)、上方に1Dwの間)の
地盤の標準貫入試験による打撃回数の平均値(回)
先端地盤が砂質地盤(礫質地盤を含む)の場合
・Dw/D=3.5~4.0 10≦ N ≦ 20
・その他 10≦ N ≦50
先端地盤が粘土質の場合
・Dw/D=3.5~4.0 5≦ N ≦20
・その他 5≦N ≦50
Ap:基礎ぐいの先端の有効断面積(m2)
Ap=π・Dw2/4
Ns:基礎ぐいの周囲の地盤のうち砂質地盤の標準貫入試験による打撃回数の平均値(回)
Nsの範囲:2≦ Ns ≦30
qu:基礎ぐいの周囲の地盤のうち粘土質地盤の一軸圧縮強度の平均値(kN/m2)
quの範囲:30≦ qu ≦200
Ls:基礎ぐいの周囲の地盤のうち砂質地盤に接する有効長さの合計(m)
基礎ぐい施工地盤面から1m部分および基礎ぐいの先端より上方に1Dwの区間は除く。
Lc:基礎ぐいの周囲の地盤のうち粘土質地盤に接する有効長さの合計(m)
基礎ぐい施工地盤面から1m部分および基礎ぐいの先端より上方に1Dwの区間は除く。
ψ:基礎ぐいの周囲の有効長さ(m) ψ=π・D(D:鋼管外径(m))
杭材から決まる長期許容支持力(NaL)
NaL = F * /1.5・Ae・(1-α1-α2)
F*:鋼材の設計基準強度
ここで、F*:0.01 ≦ te/r<0.08 の場合 F*=F・ (0.80+2.5・te/r)
te/r≧0.08 の場合 F*=F
te:腐食しろを除いた抗軸部の厚さ
r:杭軸部の半径
Ae:腐食しろ(1mm)を除いた杭軸部の断面積
α1:細長比による低減率(L/D>100の場合、α1=(L/D-100)/100))
L:杭長 D:抗軸部径
α2:継ぎ手による低減率
- 長期許容支持力は、地盤から決まる長期許容支持力(RaL)と杭材から決まる長期 許容支持力(NaL)のうち小さい値とする。
- 短期許容支持力は、RaL×2と NaL×1.5のうち小さい値とする。
※1地震時に液状化するおそれのある地盤は除く。地震時に液状化するおそれのある地盤とは、「建築基礎構造設計指針(日本建築学会:2001改定)」に示されている液状化発生の可能性の判定に用いる指標値(FI値)により、液状化発生の可能性があると判定される土層(FI値が1以下となる場合)及びその上方にある土層を言う。
引抜き方向支持力
先端地盤:砂質地盤(礫質地盤を含む)
粘土質地盤
性能証明:GBRC性能証明 第12-20号 改3
適用鋼管径:139.8mm~457.2mm
先端翼径:1.8倍径~4.0倍径(鋼管径による)
最大施工深さ:59.4mかつ杭径の130倍以下
適用する建築物の規模:延べ面積50,000m2以下
地盤に接する最小杭長:5.0m
ただし、地震時に液状化するおそれのある地盤に打設する場合は、地震時に液状化するおそれのある地盤の下端から杭先端位置までの長さを上記最小杭長以上とする。なお、液状化が発生するか否かは設計者が判断する。
地盤から決まる短期許容引抜き支持力(tRaS)
tRas = = 2/3K・Nt・tAp (KN)
K:支持力係数(砂質地盤(礫質地盤を含む)、粘土質地盤K=64) ※2
Nt:杭先端のN値の平均値
算定範囲は、杭先端から上方向に3Dw(Dwは先端翼の直径)
先端地盤が砂質地盤(礫質地盤を含む)の場合
・Dw/D=3.5~4.0 10≦N≦20
・その他 10≦N≦50
先端地盤が粘土質の場合
・Dw/D=3.5~4.0 5≦N≦20
・その他 5≦N≦50
tAp:杭の引抜き方向の有効断面積(m2)
tAp=π /4・Dw2-D2)
- 浮力が杭自重を上回る場合があるので、必ず有効自重の確認を行い、有効自重が負の値になる場合はその値を支持力から差し引く。
杭材から決まる短期許容支持力(tNaS)
tNas=F*・Ae・(1-α2) / 1000
F*:鋼材の設計基準強度
ここで、F*:0.01≦te/r<0.08 の場合 F*=F・(0.80+2.5・te/r)
te/r≧0.08 の場合 F*=F
te:腐食しろを除いた杭軸部の厚さ
r:杭軸部の半径
Ae:腐食しろ(1mm)を除いた杭軸部の断面積
α2:継ぎ手による低減率
- 引抜き方向の長期許容支持力は、tRas×1/2かつ、tNas×1/1.5のうち、小さい値とする。 ただし、建築物・鉄塔については、短期許容引抜き支持力のみを適用する。
※引抜き方向支持力を検討する際は、別途上部地盤の検討が必要となりますので、お問い合わせ下さい。
※2地腹時に液状化するおそれのある地盤は除く。地震時に液状化するおそれのある地盤とは、「建築基礎構造設計指針(日本建築学会:2001改定)」に示されている液状化発生の可能性の判定に用いる指標値(FI値)により、液状化発生の可能性があると判定される土層(FI値が1以下となる場合)及びその上方にある土層を言う。
押込み方向支持力早見表
地盤から決まる長期許容先端支持力
先端地盤:砂質地盤(礫質地盤含む)、粘土質地盤
※1・・・使用する鋼管の厚みについてはお問い合わせください。
※2・・・杭先端平均N値の適用範囲 先端地盤:砂質地盤(礫質地盤含む)10≦N≦50 粘土質地盤:5≦N≦50
※1・・・使用する鋼管の厚みについてはお問い合わせください。
※2・・・杭先端平均N値の適用範囲 先端地盤:砂質地盤(礫質地盤含む)10≦N≦50 粘土質地盤:5≦N≦50
※1・・・使用する鋼管の厚みについてはお問い合わせください。
※2・・・杭先端平均N値の適用範囲 先端地盤:砂質地盤(礫質地盤含む)10≦N≦50 粘土質地盤:5≦N≦50
杭材の耐力
F:鋼材等の許容応力度の基準強度
F*:鋼材の設計基準強度
0.01 ≦te/r<0.08 の場合 F*=F・(0.80+2.5・te/r)
te/r>0.08 の場合 F*=F
r:杭軸部の半径(mm)
te:腐食代(外面1mm)を除いた厚さ(mm)
Lfc:長期許容圧縮応力度
sfb:短期許容曲げ応力度
Zt:ねじり断面係数(cm4)
Zt=l/(D/4)
|:断面2次モーメント
sfs:短期許容せん断応力度(cm5)
sfs=F/√3
T:ねじり強さ(杭体の許容トルク) (kN・m)
Rc:圧縮強さ(長期)
Rb:曲げ強さ(短期)
STK-400・SKK-400
※・・・記載の無い寸法はお問い合わせください。
※腐食しろを考慮(ねじり強さを除く。)
※・・・記載の無い寸法はお問い合わせください。
※腐食しろを考慮(ねじり強さを除く。)
F:鋼材等の許容応力度の基準強度
F*:鋼材の設計基準強度
0.01 ≦te/r<0.08 の場合 F*=F・(0.80+2.5・te/r)
te/r>0.08 の場合 F*=F
r:杭軸部の半径(mm)
te:腐食代(外面1mm)を除いた厚さ(mm)
Lfc:長期許容圧縮応力度
sfb:短期許容曲げ応力度
Zt:ねじり断面係数(cm4)
Zt=l/(D/4)
|:断面2次モーメント
sfs:短期許容せん断応力度(cm5)
sfs=F/√3
T:ねじり強さ(杭体の許容トルク) (kN・m)
Rc:圧縮強さ(長期)
Rb:曲げ強さ(短期)
STK-490・SKK-490
※・・・記載の無い寸法はお問い合わせください。
※腐食しろを考慮(ねじり強さを除く。)
※・・・記載の無い寸法はお問い合わせください。
※腐食しろを考慮(ねじり強さを除く。)
杭頭接合部の参考例
※杭頭接合部の設計は、認定・性能証明の規定外となります。関係諸基準に準じて設計者の判断に委ねられています。
土壌の状態や施工内容によって杭頭接合部の設計を行うことができます幅広く対応できますのでご相談ください
杭に水平力を 負担させない場合の接合例
杭に水平力を 負担させる場合の接合例
杭芯間隔、へりあき参考例
※設計者の判断に委ねられています。
杭芯の間隔は先端翼径や鋼管外径によって異なります
a:杭芯間隔 | b:へりあき |
D+Dw | 1.25×D |
※Dw:先端翼径 D:鋼管外径