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大臣認定版 PPG工法

PPG工法を知るための4つのポイント

大臣認定版PPG工法表紙

POINT1 PPG工法の概要

PPG工法は、杭状地盤補強材として第3者証明を取得し、低層建築物に全国で1万棟を超える採用を得た工法である。この度、社会のニーズに答える形で、基礎ぐいとして採用できるよう、新たに国土交通大臣認定を取得しました。小口径鋼管の先端に鋼管径の3倍程度の拡底翼を取り付けて、先端支持力を向上した鋼管回転貫入工法です。先端部の拡底部は2枚の掘削羽を有し、掘進力に優れています。低騒音、無廃土で環境面に与える負荷の少ない工法です。

認定書 TACP-0518

認定書 TACP-0518

認定書 TACP-0519

認定書 TACP-0519

POINT2 鋼管の仕様・特長・対策

  • 環境に優しい「回転圧入工法」低騒音、邸振動、無廃土です。
  • 支持地盤土質を選びません。粘土質、砂質(礫質含む)に対応
  • 鋼管杭種は5タイプ、Φ89.1、Φ101.6、Φ114.3、Φ139.8、Φ165.2
  • 先端拡底は1枚の板からなり、剛性が高くなっています。
  • 低価格対策①高い貫入能力により施工機械を小型化
  • 低価格対策②管材流通コストをスリム化
  • 万全な設計・施工管理、PPG工法協会による徹底管理
  • 中低層規模建築物に特化、必要最小限の鋼管仕様に限定化
先端拡底型PPG杭先端翼

鋼管の仕様・特徴・対策

POINT3 多彩な採用効果

埋土対策

埋土対策

盛土対策

盛土対策

液状化対策

液状化対策

腐植土対策

腐植土対策

擁壁対策

擁壁対策

斜面対策

斜面対策

環境対策

環境対策

産廃対策

産廃対策

POINT4 PPG適用範囲

適用地盤

1) 基礎ぐいの先端付近の地盤:砂質地盤(礫質地盤を含む)、粘土質地盤
2) 基礎ぐいの周囲の地盤:砂質地盤、粘土質地盤

最大施工深さ

基礎ぐいの最大施工深さは、くい施工地盤面から基礎ぐいの先端までの長さとし、21.47m(ただし、130D以下)とする。

適用建築物

各階の床面積の合計が500,000㎡以下の建築物に適用する。

仕様 長さ
鋼管軸部径 φ89.1mm 11.58m
鋼管軸部径 φ101.6mm 13.20m
鋼管軸部径 φ114.3mm 14.85m
鋼管軸部径 φ139.8mm 18.17m
鋼管軸部径 φ165.2mm 21.47m

施工概要図

施工概要図

基礎ぐいの構造

基礎ぐいの構造

先端部特性

拡底型
掘削面の形状により、推進力が向上
掘削面

施工特性

施工特性
一般工法の1Pピッチと比較して1DWピッチでの施工が可能であり、
抜群の施工性
施工特性2

先端翼部応力特性

拡底部の部材は鉛直力に対する応力に強い構造です。
先端翼部応力特性

PPG開発・実験(載荷試験・材料応力確認)

FEM解析

PPG工法の施工フロー と管理項目

PPG工法は主として、低層住宅の地盤対策用として開発されています。他の小口径鋼管を用いた工法と比較して管径が小さいのが特徴です。これは低層住宅で採用されている基礎形状の特性に合わせて鋼管を配置する場合に、鋼管に求められた必要性能が過剰材とならない事を狙った仕様です。そのため経済的な工法となっています。

管理項目

工程 管理方法 管理値
材料
管理
材料の
受入検査
  • 設計仕様に示されているくい材が適切に納入されているか、搬入時に目視確認する。
    【スケール等による確認項目】
    鋼管径・鋼管厚さ・鋼管長・翼径
    【刻印(ステンシル)、書類による確認項目】

    鋼管規格・納品伝票
  • 設計仕様に示されている寸法、規格、数量とする。
施工
準備
準備
  • 敷地内の整理・整頓
  • 不要なものは場内に置かない。
作業地盤
  • 地盤調査報告書を参考にし現地踏査を行い、トラフィカビリティが確保されていることを確認する。確保できない場合は、敷鉄板やプラスチック敷板または厚べニヤ板等で養生を行う。
    表層部分を浅層混合処理工法により固化させることも有効である。
  • 20tクラスの施工機の場合、敷鉄板の標準使用量:厚さ25mm×幅1.5m×長さ6m 6枚程度
  • プラスチック敷板、厚ベニヤ板等の標準使用量:幅0.9m 長さ1.8m 6枚程度(ベニヤ板を使用する場合は厚さ22mm程度)
  • 浅層混合処理工法による場合の標準仕様:改良厚0.5m程度、固化材添加量80kg/㎡程度
鋼管
建込
鋼管の
建精度
  • 【鉛直性】
    水準器でXY方向から確認する。
  • 【建込位置】
    XY方向に設置した逃げ杭からスケールにより確認する。
  • 【鉛直性】
    1/100以内
  • 【建込位置】
    2cm以内
鋼管回転貫入 回転トルク
  • 管理装置(トルク計)にて確認する。
  • min(くい軸部,拡翼溶接部)の短期ねじり強さ以内
貫入スピード
  • 管理装置(深度計及び回転計)にて確認する。
  • 1Dw/回転以内
継手の施工 機械式継手
  • 性能、耐力が第三者機関により認められたものを使用する。
  • 第三者機関により認められた管理値以内
溶接継手
  • 裏当て金具の確認
  • 鋼管軸部のズレの確認。
  • ルート間隔の確認。
  • 裏当て金具が付いている。
  • 鋼管軸部のズレが1.5mm以内であることを確認する。
  • ルート間隔が3mm~5mm程度以内であることを確認する。
打ち止め管理 トルク値管理の場合
  •  管理装置(トルク計)にて確認する。
  • 設計支持層着定時近傍の回転トルク値が、試験ぐい にて設定した管理トルク値(目標値)に0.8を乗じた下 限許容値以上であることを確認する。
単位回転数値管理の場合
  • 管理装置(深度計及び回転計)にて確認する。
  • 設計支持層着定時近傍にて5cm貫入するのに要する回 転数が、試験ぐいにて設定した管理回転数値(目標値) に0.8を乗じた下限許容値以上であることを確認する。
鋼管頭部確認 頭部レベル
  • レベル等による確認
  • ±0~-10cm以内
鋼管芯ずれ
  •  XY方向に設置した逃げ杭からスケールにより確認する。
  • ±10cmかつ鋼管外周が基礎からはみ出さない範囲内

PPGの設計フロー

施工フロー

PPGの施工フロー
施工フロー写真1
施工フロー写真2

PPG工法の支持力算定

地盤で決まる許容支持力 Ra の算定

本工法により施工される基礎ぐいの許容支持力を定める際に求める長期並びに短期に生ずる力に対する地盤の許容支持力は次式による。

1)長期に生ずる力に対する地盤の許容支持力(kN)

Ra=1/3{α・N・Ap+(β・Ns・Ls+γ・qu・Lc)ψ}

2)短期に生ずる力に対する地盤の許容支持力(kN)

Ra=2/3{α・N・Ap+(β・Ns・Ls+γ・qu・Lc)ψ}

記号

  • α:基礎ぐいの先端付近の地盤(地震時に液状化するおそれのある地盤※を除く)における先端支持力係数(砂質地盤(礫質地盤含む):α=250、粘土質地盤:α=240)
  • β:基礎ぐいの周囲の地盤(地震時に液状化するおそれのある地盤※を除く)のうち砂質地盤におけるくい周面摩擦力係数(β=1.4)
  • γ:基礎ぐいの周囲の地盤(地震時に液状化するおそれのある地盤※を除く)のうち 粘土質地盤におけるくい周面摩擦力係数(γ=0.12)
  • N:基礎ぐいの先端より下方に1Dw、上方に1Dwの範囲の標準貫入試験による打撃回数の平均値(回)(先端:拡翼の下端、Dw:拡翼径)
    ただし、砂質地盤(礫質地盤含む):8≦N≦30とし、Nを算出する時の個々のN値は、 N<3のときN=0、N>41のときN=41とする。N<8の場合、N=0とし、N>30の場合N=30とする。
    粘土質地盤:5≦N≦30とし、Nを算出する時の個々のN値は、N<5のときN=0、N>32のときN=32とする。
    N<5の場合、N=0とし、N≧30の場合N=30とする。
  • AP:基礎ぐいの先端有効断面積(㎡)
    AP=π・D2/4+0.5(π・Dw2/4-π・D2/4)
    ここに、D:くい軸径(m)、Dw:拡翼径(m)
  • Ns:基礎ぐいの周囲の地盤のうち砂質地盤の標準貫入試験による打撃回数の平均値(回)
    ただし、2≦Ns≦16とし、Nsを算出する時の個々のN値は、N<1のときN=0、N>22のときN=22とする。
    Ns<2の場合、Ns=0とし、Ns>16の場合Ns=16とする。
  • Ls:基礎ぐいの周囲の地盤のうち砂質地盤に接する長さの合計(m)
    ただし、くい先端より上方に300mmの区間を除く。
  • qu:基礎ぐいの周囲の地盤のうち粘土質地盤の一軸圧縮強度の平均値(kN/㎡)
    ただし、30≦qu≦140とし、quを算出する時の個々のqu値は、
    qu<30の場合、qu=0としqu>160のときqu=160とする。qu<30の場合、qu=0とし、qu>140の場合qu=140
  • Lc:基礎ぐいの周囲の地盤のうち粘土質地盤に接する長さの合計(m)
    ただし、くい先端より上方に300mmの区間を除く。
  • Ψ :基礎ぐいの周囲の有効長さ(m)
    Ψ=πxD

※ここでの「地震時に液状化のおそれのある地盤」とは、建築基礎構造設計指針(日本建築学会:2001改定)に示さ れている液状化発生の可能性の判定に用いる指標値(FI値)により、液状化発生の可能性があると判定される土層(FI値が1以下となる場合)及びその上方にある土層をいう。

部材寸法(SS400)

先端平均
N値範囲
くい軸部 拡翼部
くい軸径
D(mm)
拡翼径
Dw(mm)
翼部厚さ
tw(mm)
20以下 89.1 250 9
20超 89.1 250 12
20以下 101.6 250 9
20超 101.6 250 12
20以下 101.6 300 12
20超 101.6 300 12
20以下 114.3 300 12
20超 114.3 300 12
20以下 114.3 350 12
20超 114.3 350 16
20以下 139.8 400 16
20超 139.8 400 19
20以下 165.2 450 16
20超 165.2 450 19

先端平均N値の大きさによる杭軸部の厚さ

先端
平均
N値
STK400材を使用した場合の必要くい軸部厚さt(mm)
鋼管仕様(上段:くい軸径D 下段:拡翼径)
89.1 101.6 101.6 114.3 114.3 139.8 165.2
250 250 300 300 350 400 450
10 4.2 4.2 4.2 3.5 3.5 4.5 4.5
15 4.2 4.2 4.2 3.5 3.5 4.5 4.5
20 4.2 4.2 4.2 3.5 4.5 4.5 4.5
25 4.2 4.2 4.2 4.5 6.0 6.0 6.0
30 5.5 5.7 5.7 6.0 6.0 6.0 7.1
先端
平均
N値
STK490材を使用した場合の必要くい軸部厚さt(mm)
鋼管仕様(上段:くい軸径D 下段:拡翼径)
89.1 101.6 101.6 114.3 114.3 139.8 165.2
250 250 300 300 350 400 450
10 4.2 4.2 4.2 3.5 3.5 4.5 4.5
15 4.2 4.2 4.2 3.5 3.5 4.5 4.5
20 4.2 4.2 4.2 3.5 4.5 4.5 4.5
25 4.2 4.2 4.2 4.5 4.5 4.5 4.5
30 4.2 4.2 4.2 4.5 4.5 6.0 6.0

鋼管寸法と断面性能

くい
軸径
厚さ 単位
質量
周長 断面積 断面二次
モーメント
断面係数 断面二次半径 短期ねじり強さ
D
(mm)
t
(mm)
W
(kg/m)
φ
(m)
A
(cm2)
A*
(cm2)
I
(cm4)
I*
(cm4)
Z
(cm3)
Z*
(cm3)
i
(cm)
i*
(cm)
sMt(kN・m)
STK400 STK490
89.1 4.2 8.79 0.280 11.20 8.43 101 74 22.7 16.7 3.01 2.97 6.2 6.7
89.1 5.5 11.34 0.280 14.45 11.68 127 100 28.4 22.4 2.96 2.92 6.7 6.7
101.6 4.2 10.09 0.319 12.85 9.69 153 113 30.1 22.2 3.45 3.41 8.2 8.7
101.6 4.5 10.78 0.319 13.73 10.57 162 122 31.9 24.0 3.44 3.40 8.7 8.7
101.6 5.7 13.48 0.319 17.17 14.01 198 158 39.0 31.1 3.40 3.36 8.7 8.7
114.3 3.5 9.56 0.359 12.18 8.62 187 130 32.7 22.8 3.92 3.88 8.9 10.1
114.3 4.5 12.19 0.359 15.52 11.96 234 177 41.0 31.0 3.89 3.85 11.1 11.1
114.3 6.0 16.03 0.359 20.41 16.85 300 243 52.5 42.5 3.83 3.80 11.1 11.1
139.8 4.5 15.02 0.439 19.13 14.77 438 333 62.7 47.7 4.79 4.75 17.0 17.7
139.8 6.0 19.80 0.439 25.22 20.86 566 461 80.9 65.9 4.74 4.70 17.7 17.7
139.8 6.6 21.68 0.439 27.62 23.26 614 509 87.8 72.8 4.72 4.68 19.4 19.4
165.2 4.5 17.83 0.519 22.72 17.56 734 560 88.9 67.8 5.68 5.65 24.1 24.7
165.2 6.0 23.56 0.519 30.01 24.85 952 778 115.3 94.2 5.63 5.60 24.7 24.7
165.2 7.1 27.68 0.519 35.26 30.11 1104 930 133.7 112.6 5.60 5.56 28.8 28.8
165.2 9.3 35.76 0.519 45.55 40.39 1389 1215 168.1 147.1 5.52 5.48 28.8 28.8
165.2 11.0 41.83 0.519 53.29 48.13 1592 1418 192.7 171.7 5.47 5.43 28.8 28.8
  • 拡翼および先端ビットは、SS400を用いる
  • 拡翼の厚さの公差は、JIS G 3101(2015)に準拠する
  • 上記以外の拡買および先端ビットの各種寸法の公差は±10%以下とする
  • 鋼管厚さは使用例です

水平載荷試験例

水平載荷試験例

打ち止め管理

PPG工法には、2種類の打ち止め管理手法があります。

①トルク値による場合

試験抗で地盤データと比較して、打ち止め管理トルク値を設定する

②回転貫入量による場合

設定N値部分の地盤で、5cm貫入させるのに必要な回転数を求める

引き抜き方向の許容支持力

地盤の引抜き方向の短期許容支持力
tRa = 8/15・RF+Wp
tRa:地盤の引抜き方向の短期許容支持力(kN)
RF:杭基礎とその周辺の地盤との摩擦力(kN)
RF=(β・Ns・Ls+γ・qu・Lc)・ψ
β:基礎ぐいの周辺地盤のうち砂質地盤におけるくい周辺摩擦力係数(β= 1.4)
Ns:基礎ぐいの周辺の地盤のうち砂質地盤の標準貫入試験による打撃回数の平均値(回)
Ls:基礎ぐいの周辺地盤のうち砂質地盤に接する長さの合計(m)
γ:基礎ぐいの周辺地盤のうち粘土質地盤におけるくい周辺摩擦力係数(γ=0.12)
qu:基礎ぐいの周辺の地盤のうち粘土質地盤の一軸圧縮強度の平均値(kN/㎡)
Lc:基礎ぐいの周辺地盤のうち粘性土地盤に接する長さの合計(m)
ψ:基礎ぐいの周囲の有効長さ(m)
Wp:基礎杭の有効重量(kN)

機械式継手例

  • 適用する建築物の規模は、各階の床面積の合計が500,000m以下の建築物で使用できます。
  • 圧縮・引張・曲げが作用する場合でも、EasyLock型継手の性能範囲で設計をした場合は使用できます。
  • EasyLock型継手を有する鋼管杭の施工は、圧入、回転圧入もしくは回転貫入による施工となります。
機械式継手例
EasyLock型継手

動的貫入試験(ラムサウンディング試験)と
スクリューウェイト貫入試験を併用して確実な地盤調査

PPG工法を行う際は、計画建物中央付近にてボーリングによる地盤調査を1箇所以上実施する。地盤調査では、くい先端より下方に5Dp(Dp:基礎ぐいの先端の有効断面積Apを円形とした場合における円の直径)以上の範囲(以下、くい先端下部地盤)における地盤情報を把握し、αを適用できる地盤であることを確認する。ただし、くい先端下部地盤における地盤情報が既往の調査等により明らかな場合は、この限りではない。資料調査により、地形の傾斜や不均ーな造成工事が行われた地盤等の場合、調査ポイントを適宜増やして地盤状況を把握する。その際、スクリューウェイト貫入試験や動的コーン貫入試験を併用し、地層の傾斜や造 成状況などを詳細に把握することも有効です。

標準貫入試験・SWS試験・ラム試験対比

標準貫入試験・SWS試験・ラム試験対比

①ラムサウンディング試験

各部名称

②スクリューウェイト貫入試験

T-W1000
支持層が傾斜している地盤などで、支持層までの深さを多く調査確認したい場合などは、全自動SWS試験機で安価に調査して参考にすることができます。
スウェーデン式サウンディング試験写真

PPG工法の許容支持力早見表

大臣認定版PPG工法 許容支持力早見表(kN)

各地盤タイプで、先端支持力のみで考慮した場合

各地盤タイプで、先端支持力のみで考慮した場合1
各地盤タイプで、先端支持力のみで考慮した場合2

各地盤タイプで、摩擦力のみで考慮した場合(kN)

各地盤タイプで、摩擦力のみで考慮した場合1
各地盤タイプで、摩擦力のみで考慮した場合2