サンダーパイル工法とは
モルタルの補強体を地中に形成して建物を支えます。 先端閉塞をしたケーシングを利用することにより、確実な補強体を形成するとともに、 残土の発生もなく、安価で、高強度な地盤補強を実現します。
1.ケーシングを用いるため均一な補強体の築造が可能
適用地盤
本工法の適用する地盤は、下記に示す条件の地盤とする。
【先端地盤】
粘性土地盤、砂質土地盤(礫質土地盤を含む)
【周面摩擦考慮地盤】
粘性土地盤、砂質土地盤、有機質土地盤(伏流水等、地下水に流れが存在する恐れがある場合には、 適切な地盤調査を実施し、補強体の品質に問題が生じると 判断される際は適用不可とする。)
2.土質に影響を受けることなく、 安定した強度を確保
適用建築物
項目 | 条件 |
軒高 | 10m以下 |
建物高さ | 13m以下 |
階数 | 地上3階以下 |
延べ面積 | 1500㎡以下 |
3.無排土で施工が可能であり環境性能に優れています
最大施工深さ 本工法の最大施工深さは、8.0mとする。
4.低コストで地盤補強を実現します
引抜き出来形状況【拡底型】
地盤調查
本工法の地盤調査は、スクリューウェイト貫入試験(以降SWS試験と呼ぶ)による。 また、調査時にサンプリングを実施し、土質を確認することを原則とする。 土質サンプリングが実施できない場合には、近隣ボーリングデータ、近隣地盤調査及び 地盤改良実績による土質サンプリング結果などより土質を判別する。
施工手順/仕様 【ストレート型】
サンダーパイル工法の施工概要
ケーシング位置を杭芯に合わせ鉛直性を確認する。
鉛直性を確認しながら回転貫入する。
計画深度に着底させた後、ケーシング頭部又は投入窓からモルタルを充填する。
ケーシングを無回転の状態で引き上げる。モルタルの容量が頭部付近で足りない場合は、投入窓より、モルタルを追加投入する。頭部処理を行い完了とする。
1.ケーシング及び先端蓋の仕様
サンダーパイル工法ストレート型のケーシングロッド及び先端蓋仕様
ケーシング仕様 | 先端蓋仕様 | ||
外径(mm) | 直径(mm) | 肉厚(mm) | 材質 |
139.8 | 118.0 | 9.0 | SS400 |
165.2 | 142.0 | 9.0 | SS400 |
モルタルの仕様
標準配合例(1㎡あたり)
セメント:細骨材 | 水セメント比 W/C (%) |
細骨材量 (表乾状態) (kg/㎡) |
セメント量 (kg/㎡) |
水量 (kg/㎡) |
増粘剤 アドパプラス (kg/㎡) |
1:3 | 55 | 1486 | 496 | 273 | 2.5 |
【モルタルの仕様】
補強体の軸部として利用するモルタルは、1:3モルタルを原則とし、水セメント比(W/C)は55%を標準とする。モルタルにはブリージングの抑制や細骨材の沈降(分離)を防ぐため増粘剤を配合する。
モルタルが納入された時点で、シリンダーフロー試験を行い、フロー値が大きい場合は増粘剤を更に添加し、逆に小さい場合は流動性を確保するため、AE減水材又は高性能AE減水材等を適宜添加する。
加えて、冬期に凍害のおそれがある場合には、AE減水材の増量又は凍害防止剤等を適宜添加する。また、猛暑日に打設を行う場合や打設時間を確保する場合には、遅延剤又は遅延型流動化剤など、現場の状況に合わせて適宜添加剤を使用し、安定した品質の確保に配慮する。
施工手順/仕様 【拡底型】
サンダーパイル工法の施工概要
ケーシング位置を杭芯に合わせ鉛直性を確認する。
鉛直性を確認しながら回転貫入する。
計画深度に着底させた後、ケーシング頭部又は投入窓からモルタルを充填する。
ケーシングを無回転の状態で引き上げる。モルタルの容量が頭部付近で足りない場合は、投入窓より、モルタルを追加投入する。頭部処理を行い完了とする。
1.ケーシング及び先端金物の仕様
サンダーパイル工法拡底型のケーシングロッド及び先端翼仕様
ケーシング仕様 | 先端金物仕様 | |||
外径(mm) | 名称 | 大きさ(mm) | 厚さ(mm) | 材質 |
φ165.2 | 先端翼 | φ350 | 12 | SS400 |
鋼管 | φ179 | 5 | STK400 | |
底板 | φ179 | 9 | SS400 | |
回転金具 | 50×158 | 22 | SS400 |
【モルタルの仕様】
補強体の軸部として利用するモルタルは、1:3モルタルを原則とし、水セメント比(W/C)は55%を標準とする。モルタルにはブリージングの抑制や細骨材の沈降(分離)を防ぐため増粘剤を配合する。
モルタルが納入された時点で、シリンダーフロー試験を行い、フロー値が大きい場合は増粘剤を更に添加し、逆に小さい場合は流動性を確保するため、AE減水材又は高性能AE減水材等を適宜添加する。
加えて、冬期に凍害のおそれがある場合には、AE減水材の増量又は凍害防止剤等を適宜添加する。また、猛暑日に打設を行う場合や打設時間を確保する場合には、遅延剤又は遅延型流動化剤など、現場の状況に合わせて適宜添加剤を使用し、安定した品質の確保に配慮する。
許容鉛直支持力の検討
サンダーパイル工法における許容鉛直支持力の検討は、常時(長期)及び中地震時(短期)の荷重条件に対して行うものとし、サンダーパイル部分に建物荷重の全てが作用するものとし、サンダーパイルの許容鉛直支持力が、各荷重条件における建物荷重よりも上回っていることを検証する。
【ストレート型】
【拡底型】
1建物荷重の設定 F1
建物構造(在来工法・枠組み工法・ユニット工法・鉄骨造・鉄筋コンクリート造等)と各階床面積及び基礎構造から建物総重量の目安を算出する。建物総重量、軸力、設計接地圧等が分かる場合は、その数値を採用する。
2「サンダーパイル配置の設定 F2
基礎構造、建物重量を考慮し、サンダーパイル1本当たりの負担荷重に大きなバラツキが生じないよう バランスを考慮し、配置する。
3負担荷重Pの算定 F3
建物荷重、サンダーパイルの割付本数等から頭部に作用する負担荷重を求める。
4サンダーパイル仕様の仮定 F4
サンダーパイルの仕様は、負担荷重Pと地盤条件を考慮して、改良径D、改良長Lを仮定し、先端支持力を考慮する部分、 摩擦力を考慮する部分それぞれの平均N’を設定する。 N’の算定はSWS試験結果より、土質に応じて式 Ⅱ.1.1、Ⅱ.1.2を用いて行う。
砂質土地盤の場合 N’=2Wsw+0.067Nsw・・式 Ⅱ.1.1
粘性土地盤の場合 N’=3Wsw+0.05Nsw・・式Ⅱ.1.2
Wsw:荷重の大きさ(kN)
Nsw:貫入量1m当たりの半回転数(回/m)
5地盤から決まる許容支持力Ra1の算定 F5
【ストレート型】 地盤から決まる許容支持力Ra1の算定は、設定した仕様から式Ⅱ.1.3を用いて算定する。
Ra1=1/Fs(αsw×N‘×Ap+(βγsw×Nf’×Lf×ψ)
・・・式Ⅱ.1.3
Ra1:地盤から決まる許容支持力(kN)
Fs:安全率長期3、短期1.5とする。
αsw:先端支持力係数(αsw=160)
N’:先端地盤の平均N’値
粘性土地盤においてN’>6.6のときは、N’=6.6とし、N’≦5.3 とする。また、N'<1.5の時はN’=0とし、N’≧1.9とする。
砂質土地盤・礫質土地盤においてN’>20.0のときは N’=20.0とし、N’≦15.0とする。
また、N’<3.3の時はN’=0とし、N’≧3.5とする。
Ap:先端有効断面積(㎡)
Ap=πD2/4
D:補強体径(m)
Bγsw:周面摩擦力係数(Bγsw=8.5)
Nf’:周面摩擦力を考慮する範囲の平均N’値
ただし、N’>12.0のときはN’=12.0とし、Nf’≧5.6のときは、 Nf’=5.6とする。
N’<1.5のときはN’=0とし、Nf’<2.1のときはNf’=0とする。
Lf:周面摩擦力を考慮する範囲の長さ(m)
ψ:補強体の周長(m)
【拡底型】地盤から決まる許容支持力Ra1の算定は、設定した仕様から式Ⅱ.1.3を用いて算定する。
Ra1=1/Fs(αsw×N‘×Ap+(βγsw×Nf’×Lf×ψ)
・・・式Ⅱ.1.3
Ra1:地盤から決まる許容支持力(kN)
Fs:安全率長期3、短期1.5とする。
αsw:先端支持力係数(αsw=145)
N’:先端地盤の平均N’値
粘性土地盤においてN’>4.6のときは、N’=4.6とし、N’≦4.5 とする。また、N'<2.25の時はN’=0とし、N’≧2.25とする。
砂質土地盤・礫質土地盤においてN’>20.0のときは N’=20.0とし、N’≦15.0とする。
また、N’<3.3の時はN’=0とし、N’≧3.5とする。
Ap:先端有効断面積(㎡)
Ap=πD2/4 +0.5(πDw2/4 – πD2/4)=0.0588㎡
D:補強体径(0.1652m)
Dw:先端翼径(0.35m)
Bγsw:周面摩擦力係数(Bγsw=3.5)
Nf’:周面摩擦力を考慮する範囲の平均N’値
ただし、N’>12.0のときはN’=12.0とし、Nf’≧5.1のときは、 Nf’=5.1とする。
N’<1.5のときはN’=0とし、Nf’<2.1のときはNf’=0とする。
Lf:周面摩擦力を考慮する範囲の長さ(m)
ψ:補強体の周長(m)
6補強体強度から決まる許容支持力Ra2の算定 F6
補強体強度から決まる許容支持力Ra2の算定は、設定した仕様から式Ⅱ.1.4を用いて算定する。
Ra2=1/Fs×Fc×Ap
・・・式Ⅱ.1.4
Ra2:補強体強度から決まる許容支持力(kN)
Fs:安全率長期4.5、短期2.25とする。
Fc:補強体の配合強度 Fc=18,000(kN/㎡)
Ap:補強体の有効断面積 Ap=πD2/4(㎡)
7許容支持力Raの算定 F7
式Ⅱ.1.5に示すとおり、Ra1とRa2のうち小さい方の値を本工法の許容支持力Raとする。
Ra=min(Ra1,Ra2)
・・・式Ⅱ.1.5
8Ra≧P F8
許容支持力Raが負担荷重P以上であるか確認する。下回っている場合は、再検討する。
Ra≧P
・・・式Ⅱ.1.5
Ra:許容鉛直支持力(kN)
P:負担荷重(kN)
サンダーパイル工法【ストレート型】 支持力計算例
【ストレート型】:φ139.8mm (kN/本)
【ストレート型】:φ165.2mm (kN/本)
サンダーパイル工法【拡底型】 支持力計算例
【拡底型】:165.2-4350mm (kN/本)